大腸がんの予防

同じがんでも、特に大腸がんは食生活と関係が深いと考えられています。もともと日本では少なかった部位のがんですが、欧米型食生活の普及とともに大腸がんが急増しました。

欧米型食生活のマイナス面を避けることが予防の基本です。動物性脂肪を減らし、食物繊維の量を増やして、伝統的な日本食を心がけることです。動物性脂肪を取り過ぎると、腸内に胆汁酸が多くでき、その胆汁酸が発がんを促進させるからです。
ただし、動物性脂肪といってもイワシ、サンマなど青魚に多い不飽和脂肪酸は、逆に大腸がんを抑制する作用があります。また、食物繊維は発がん性物質を吸着するなど、がんの抑制に働きます。

日本食で繊維の多い生野菜をたくさん食べるのは意外と難しくなりました。生野菜にこだわらず、煮野菜をたくさん取ってもいいでしょう。胆汁酸の作用を弱めるカルシウムやビタミンDの摂取も、大腸がんの予防には効果的です。

大腸がんを防ぐ個別の食品については、多くの動物実験や疫学調査があります。たとえばミカン。動物実験では大腸がんのほか、皮膚がん、肺がんを抑えることが分かっています。オレンジ色の色素のβ―クリプトキサンチンには、がん化した細胞を元へ戻す働きがあり、1日に1、2個で効果があるようです。このほか繊維の多いリンゴ、イチジク、玄米にも予防効果があるようです。米国の研究では、ニンニクをよく食べる人に大腸がんが少ないという報告もあります。

運動は、がん細胞を攻撃するNK細胞を活性化させ、胆汁酸の代謝を促す働きがあり、実際に運動をする人には大腸がんが少ないようです。運動が腸管の煽動運動を促し、このことが予防につながっているのが理由と考えられています。

大腸がんは早期に発見すれば、治りやすいがんです。定期的な大腸がんの検診がお勧めです。

大腸がん予防のポイント

  1. 動物性脂肪を減らす
  2. アルコールを控える(アルコールはほぼ確実な大腸がん促進因子)
  3. 食物繊維を取る(繊維の多いものはゴボウ、芽キャベツ、オートミール、おから、糸引き納豆、干しシイタケ、海藻類、玄米、大豆、全粒小麦、干し柿など)
  4. 魚をよく食べる
  5. ニンニク、ブロッコリーなど抗酸化力の強いものをよく食べる
  6. よく歩き、適度に運動する
  7. たばこをやめる
  8. 50歳を過ぎたら、便潜血反応や内視鏡検査を受ける