フコイダン

「アポトーシス」について

生物のすべての細胞は、自分自身を死滅させるスイッチをもっています。
例えば、オタマジャクシがカエルになるときしっぽがなくなるのは、しっぽの細胞が自ら死滅するからです。
こうした細胞の自滅作用を「アポトーシス」といいます。

アポトーシスとはギリシャ語で「秋に枯れ葉が落ちる状態」を意味します。
そのとおり、秋に枯れ葉が落ちるのは、葉の細胞が自滅していくからです。
その生物に不要になった細胞が、自ら死滅するスイッチを押して消滅していくことは、成長の過程でとても重要な働きなのです。

がん細胞を自滅させる「フコイダン」

人体にとって、がん細胞は不要な存在ですが、がん細胞は正常細胞よりもはるかにたくましく、なかなか死にません。
その上、増殖のスピードが非常に早く、正常細胞を圧倒していきます。
正常細胞に運ばれるべき栄養はがん細胞に奪われ、正常細胞が栄養失調で機能しなくなっていくのが「がん」という病気の進行です。

しかし、がん細胞にも自分自身を死滅させるスイッチがあります。
そして、がん細胞の自滅スイッチを押す作用の機能性食品があります。
その代表が「フコイダン」です。

フコイダンの作用

フコイダンは、海藻(コンブ、ワカメなど)のヌルヌル成分です。
フコイダンのヌルヌル成分は、人間の胃の粘膜となじみやすく、隅々までコーティングして胃粘膜を保護します。
さらにフコイダンは粘膜表面に浸透し、胃の炎症部分に働きかけ、新しい細胞の再生を助け、胃潰瘍などを修復するのに効果を発揮します。

胃潰瘍や胃がんの原因の一つとして問題視されているピロリ菌も、フコイダンのヌルヌル成分に吸い付けられて、腸へと押し流されてしまいます。
身体に入ったフコイダンががん細胞と接触すると、がん細胞の表面に飛び出ている自殺スイッチが押されます。
するとがん細胞の核に信号が送られてDNAが壊され、がん細胞が自滅するのです。
フコイダンは、がん細胞に触れさえすればアポトーシスが引き起こされることが実験結果で認められています。

フコイダンの特性

AHCCなどに代表される機能性食品は、免疫細胞を活性化してがん細胞への攻撃力を高めるのに対し、フコイダンは直接がん細胞を狙い撃ちします。
また、フコイダンは正常な細胞には作用を及ぼさないため、副作用がありません。

ちなみに抗がん剤は、がん細胞に攻撃を仕掛けて壊死させる医薬品です。
しかし抗がん剤は、正常細胞にまで負担をかけるため、副作用が起こります。
また、すべてのがん細胞を抗がん剤で壊死させることはできません。

フコイダンにしても、AHCCにしても、天然の食品成分にどのような効果があるかについて、完全に解き明かされたわけではありません。
動物を使った実験段階では、フコイダンには肝臓障害を修復する効果も確かめられていますが、人間については研究中です。
また、AHCCにもアポトーシスを引き起こす可能性があるとして、それを確かめる研究が急ピッチで進んでいます。
奥の深い可能性を秘めた天然の機能性食品。
近い将来、さらに研究が進んで、人類を救う救世主になるかもしれません。