すい臓がんの予防

すい臓は胃の裏側にある細長い臓器です。すい臓がんは毎年増えていて、昨年の死亡者は約1万9000人でした。
しかし、原因に不明な点が多く、早期発見が非常に難しいがんです。がんが小さいうちは症状があらわれず、がんがすい臓の外に出てきて、すい臓の裏にある神経に浸潤して初めて痛みが出てくるからです。

すい臓がんは進行度によって4段階に分けられますが、切除手術を受ける人の8割が最も進行したステージⅣの人たちといわれます。そのため、切除後の5年生存率は約13%です。
手術はたいてい、すい臓とその周辺にあるリンパ節などを全部取り除く拡大手術が行われます。しかし、病理検査でがんが取り切れたと判定されても再発するケースがほとんどです。近年はがんを再発するかどうかを特定できる遺伝子診断が始まり、手術後の治療の判断に利用されるようになりました。
運良く早期に発見された場合(がんの大きさが2センチ以下)で、すい臓の中にがんがとどまっていれば、切除手術で助かる確率はかなり高くなります。

すい臓がんは40~50歳ころから年齢とともに増え、特に70~80歳に多くみられます。このため、40歳を超えたら、無症状でも腹部の超音波検査とコンピューター断層撮影装置(CT)による検査を年に1回程度受ければ、早期発見も可能です。異常が見つかればさらに磁気共鳴画像や、すい管造影などの検査をして、がんの有無を確認します。
これまでの疫学調査からは、高脂肪で動物たんぱくの取り過ぎや、喫煙、飲酒、コーヒーの摂りすぎが危険因子とされ、逆に野菜・果物やビタミンCの摂取はリスクを減らす要因とされていますが、不明な点が多いがんです。