プロポリスについて

1.プロポリスとは

プロポリスは、ミツバチが樹木から採取した樹液に、ミツバチ自身の分泌液を混ぜてできた『巣材』です。
巣の内壁をコーティングして、内部を無菌状態に保つのが役割です。
その強い抗菌作用から「天然の抗生物質」ともいわれ、同じ蜂産品のローヤルゼリーやハチミツなどと比べて採取できる量が非常に少ない貴重品です。
抗酸化性、抗炎症性、抗腫瘍作用が知られ、古くから民間薬として世界各地(特に欧米)で用いられてきました。
一部の国では医薬品に認定されています。

2.薬効

プロポリスは、胃炎、口内炎、喉頭炎、気管支炎など、炎症のともなう疾患には卓効を著し、医薬品として使われる場合も、ほとんどが炎症を抑えるものです。
日本で認知が高まったのは、1991年に松野哲也博士(現コロンビア大学ガン研究施設教授)によって抗腫瘍作用が報告されてからです。
その後、研究が進み、すぐれた免疫賦活作用(マクロファージを活性化する)が確かめられ、ガン患者のNK細胞や白血球がプロポリスによって回復したという臨床報告も発表されました。
さらに、抗ガン剤の副作用を軽減する効果があることもわかりました。
プロポリスの薬効は、おもにフラボノイドによるものといわれています。
フラボノイドはポリフェノールの一種で、植物に含まれる黄色い色素です。
強い抗酸化作用があり、消炎作用のほか、血管を丈夫にし、血流をよくする作用があります。
プロポリスのフラボノイドはおよそ100種類で、その含有量は赤ワインの約10倍とされています。
プロポリスには、フラボノイド以外にも多様な成分が含まれており、それらの相乗効果で多彩な薬効が現れていると考えられます。
体内のインターフェロンの産生を促すことから、肝炎の治療にも使われています。
また強い抗アレルギー作用もあり、アトピー性皮膚炎への効果も期待されています。

3.プロポリスの組成成分

プロポリスの原形は膠状(粘りけのあるニカワのような状態)の塊で、温度が高くなると溶け、低くなると固まるという性質をもっています。
この塊自体は不純物を多く含み、水に溶けにくいので、そのままでは食品としては使用できません。
抽出法は大きく分けて三つあります。
アルコールで抽出する方法、ミセル化(微結晶)抽出、そして水で水溶性成分を抽出する方法です。
アルコール抽出法がもっとも安全で安定した抽出方法とされています。
抽出されたプロポリスは、フラボノイド以外にも、ビタミン・ミネラル類が豊富です。
また、桂皮酸誘導体という抗ガン成分のアルテピリンCを含んでいることも、プロポリスの大きな特徴です。

4.ブラジル産プロポリス

1950年代後半、ブラジルの研究施設で飼育されていたアフリカミツバチが野生化し、飼育ミツバチ群と交配して、瞬く間にアフリカミツバチ化していきました。
これによって、ブラジルの飼育ミツバチは蜜の収集量が激減してしまいました。
しかし、植物の樹脂を多量に集める性質が備わったため、プロポリスの生産が急増したのです。
また、ブラジルの森林にはユーカリが多く植栽されています。
ユーカリは精油分を多く含む樹脂を分泌するため、これがプロポリスの生産に好都合でした。
中でも、ミナス・ジェライス州の高原地帯奥地に自生する、ユーカリやアレクリンなどの植物からミツバチが採取したプロポリスは高品質で、アレクリンの含有量がブラジル産プロポリスの等級を左右するといわれています。

5.製品の濃度について

品質を検討する際に、その製品のプロポリス濃度が議論されることがあります。
しかし、有効成分の量は、濃度と比例するわけではありません。
時間をかければ高濃度に抽出できますが、そうすると、脂質など余計な成分まで溶け出してしまいます。
脂質が溶け出すと味はまろやかになりますが、いわば不純物で濃度を高めているようなものです。
プロポリスの濃度を表すために、ブリックス(Brix)という測定方法での値の高さが喧伝されることがあります。
ブリックスとは、光の屈折率で濃度を計る方法で、これでプロポリスを計るとおおよそ30~45%くらいになります。
しかし、光の屈折率を見るため、不純物の多い、光の通りにくい物質が多く混入しているとブリックス値は高くなります。
したがってこの数値が高くても一概に品質が良いとはいえません。
プロポリス製品は、原料の産地や等級、製造工程で品質が決まります。
その点が確かめられるものを選ぶのが賢明です。