前立腺がんの予防

50歳を過ぎると気になるのが、高齢とともに増える前立腺がんです。もともと米国、北欧など欧米諸国で多く日本では少なかったがんですが、近年は日本でも増加傾向にあります。
前立腺は、膀胱の下にあるクリのような形の外分泌器官です。PSAという前立腺組織に特有のたんぱく質が、前立腺がんの可能性を教えるマーカー(指標)です。血液検査で分かり、4以下なら安心、5~10だと要注意、10を超えたら危険信号とされています。
ただし、がんとは無関係の前立腺肥大や炎症でもPSAの数値は上がるため、必ずしもPSA値が高いからといって、がんとはかぎりません。

前立腺がんに特有の自覚症状はありません。PSA値が上昇傾向なら直腸診(触診)をします。それでがんの可能性が高いと診断されると、針生検(前立腺に針を刺し、少なくとも6ヵ所から細胞を取って顕微鏡で調べる)を受け、前立腺がんかどうかが判断されます。
前立腺がんの原因も、高脂肪、高たんぱくの食生活にあると考えられています。精巣を失った人には前立腺がんが少ないため、男性ホルモンが関係していると考えられます。運動は、男性ホルモンの分泌を抑えるので、運動も予防策です。
サバ、ニシン、イワシなど、脂の多い魚をよく食べる人ほど前立腺がんにかかるリスクが低いというスウェーデンの大規模な調査結果が最近発表されました。67年から30年間にわたり、約6,300人の男性を追跡して分かったことです。魚に含まれている脂に、がんの増殖を抑える働きがあるのではないかと考えられています。
動物実験や疫学調査では、トマトなどに含まれるカロチノイドのリコピン、タマネギやニンニクなどに含まれるイオウ化合物も、前立腺がんや大腸がん、肺がんなどに抑制効果があったという報告もあります。
また、大豆イソフラボンが発がんを抑えるといわれます。日本人や韓国人は血液中のイソフラボン濃度が高く、東南アジアで前立腺がんの少ない原因の根拠の一つに挙げられることもあります。