「笑い」は身体の免疫を高める

「笑い」は健康にいい、といわれます。確かに、よく笑う人は健康そうに見えますが、いったい「笑う」という行為は、私たちの身体にどんな効果があるのでしょうか。
劇場などでタップリと笑った人たちの血液中の免疫力を調べてみると、殆どの人が、笑った後は血液中の免疫細胞の働きが高まっていることが確かめられます。
「膠原病」など原因のよくわからない病気が、笑うという『治療』だけで治ってしまったと発表されたのは1960年代。以来、笑いと免疫機能との関係が注目され、その仕組みが明らかにされてきました。笑うことで、身体の中にどんなことが起こっているのでしょうか。

ナチュラルキラー(NK)細胞は白血球のひとつで、がん細胞や体内に侵入した細菌を死滅させる働きがあります。つまり、免疫活動を行っています。このNK細胞が、笑いによって強くなります。笑うと、自律神経に変化が起こるのです。自律神経とは生命活動を維持するための神経で、主に内蔵器官の働きをコントロールしています。自律神経は交感神経と副交感神経の二種類の神経でできていて、互いに相反する作用を持っています。環境や状況に合わせてうまく切り替わり、身体の状態を細かくコントロールしています。
自律神経を、笑う前と笑った後で比べてみると、差は歴然です。笑いにより、自律神経の切り替えが起こり、身体の様々な所に変化が起こります。自律神経の頻繁な切り替えが起こると、身体中の様々
な器官に刺激が与えられます。
脳への刺激により、神経ペプチドという免疫機能活性化ホルモンが全身に分泌され、NK細胞はたちまち活性化されて、さらに強力な戦士としてがん細胞などを攻撃するようになります。
笑うことで、自然治癒力が高くなるのです。

作り笑いではどうでしょうか。NK細胞はパワーアップするでしょうか?
作り笑いでもNK細胞の働きが活発になることが確かめられています。作り笑顔による活性は、顔の筋肉の動きによる脳への刺激と、笑顔という明るい表情が感情に働きかけ、笑う環境を作り出す作用もあるためと考えられています。

笑うと血管が広がり、血流量が増加し、胃腸を活発化させ消化を良くします。便秘も解消されやすくなります。笑って体内の血液循環が良くなると肝臓の血流量も増え、代謝や排泄が盛んになるので、笑いながら飲む宴会の席などでは、アルコールも分解されやすく、二日酔いになりにくいと考えられます。笑うという行為は、薬以上に効果を発揮することもあるようです。
免疫を高めて病気に強い身体をつくるためにも、笑いを意識して生活することに