ビールだけでは太らない ~でも、中性脂肪にご注意を!

ビールを飲むと太っちゃうのが心配、なんて話をよく耳にします。
本当でしょうか。

ビールの大ジョッキ1杯は、約240kcal。
ご飯1杯分に相当します。
しかし、アルコールのカロリーは他の食品のカロリーとは違い、体内に貯蔵することができません。
すぐに熱となって外に放出されてしまい、それ自体はダイエットにほとんど影響しないと考えていいでしょう。

では、なぜ、お酒は太るといわれるのでしょうか。

お酒のエネルギーは、優先的に体内で消費されます。
ということは、一緒に食べたものは利用されずに体脂肪として蓄積されやすくなるのです。
また、アルコールは肝臓内での中性脂肪の合成を増やし、中性脂肪値を大きく上げてしまいます。

中性脂肪とは
中性脂肪は、肝臓で作られる身体のエネルギーです。

身体は、消費されなかった油脂やでんぷん・砂糖をいったん脂肪として保存・蓄積し、必要なときに時に脂肪をブドウ糖に変えて、エネルギ-として使います。

中性脂肪が高いとは、血液中の中性脂肪の粒が過剰な状態をいいます。

過剰になって使われない脂肪が血液の中に溢れると、血管を詰まらせる原因になります。

通常、体内では脂肪分解酵素(リポタンパク分解リパーゼLPL)が働いているので、健康体ならば血管の目づまりは予防されます。
分解された中性脂肪は、筋肉のエネルギー源となる脂肪酸となります。
ところが、運動不足によって筋肉が使われないと、脂肪分解酵素の働きが弱くなります。
リパーゼが減ると中性脂肪は分解されず、血管を詰まらせる原因となるのです。

血液が多少流れにくくなっても、すぐには自覚症状はありません。
したがって、無症状のうちに徐々に深刻な事態が迫り、ある日突然、血管がつまって心筋梗塞、脳梗塞といった命にかかわる症状に陥ります。

そこで、中性脂肪を減少させるには、脂肪分解酵素の量を増やすことが有効です。
脂肪分解酵素は有酸素運動によって活性化されます。
筋肉に栄養を補給することが必要な状態にすれば、保存されていた脂肪をエネルギーとして使うことになるからです。

体の中には、脂肪細胞という、脂肪を貯める働きをもつ細胞があります。
肥満は、この細胞に中性脂肪が貯め込まれて起こります。
肥満になると、血栓が溶けにくくなって、循環器系の病気の危険度が急
激に増します。

寝ている間は筋肉で中性脂肪が使われなくなり、夜の間に体内の各所に貯まっていきます。
貯まる先は主に、肝臓(脂肪肝の原因)、内臓脂肪、皮下脂肪の3カ所です。

内臓脂肪、皮下脂肪は、脂肪細胞の中に蓄えられ、血栓ができやすくなります。

食べ過ぎを止める、お酒を控える(飲む回数も量も減らす)、毎日歩く量を増やす(無理な運動の必要はありません)。
この3つが有効です。
つまり生活習慣を変えることです。
しかし、それが一番難しい・・・。

「これではいけない」と思い立ったら、それは自分を変えるチャンスかもしれません。
自分の健康を管理するために、困難だからこそチャレンジする価値があると考えて、習慣を変える努力を試みてはいかがでしょう。