隠れ脂肪肝

人間ドックで発見される異常項目の第一位は何か、ご存じでしょうか。

コレステロール?肥満?実は、肝機能異常なのだそうです。

人間ドックの2002年の全国集計によると、肝機能異常26.6%、コレステロール24.9%、肥満20.3%で、飲酒の習慣のない若い女性の肝機能異常が急速に増加しています。

肝臓は「沈黙の臓器」といわれるように、障害の度合いが進行しても、自覚症状はなかなか現れません。
検査結果で初めて異常がわかることがほとんどです。

脂肪肝とは縁のなさそうな若い女性に超音波検査(エコーグラフィー)を受けてもらいました。
肝臓に問題があるとは思えない若い女性の、なんと40人中22人に脂肪肝の徴候が見つかりました。

脂肪肝とは、肝細胞の中に中性脂肪の粒がたまって肝臓に障害が起きる病気です。
エコーと呼ばれる検査方法では、血液検査だけでは見つからない脂肪肝も、直接超音波の目で見ることができます。

このような隠れ脂肪肝は、なぜ増えているのでしょうか。

脂肪肝の原因として、飲酒や栄養過多はよく知られていますが、お酒を飲まない、太っていないからといって安心はできません。
それ以外の要因が関係して増えていると考えられるからです。

果糖・・・甘い物に含まれる糖分の半分が肝臓で脂肪に変わる。
また、果物の糖分は脂肪に変わりやすい。

栄養補給剤・・・ビタミン剤やドリンク剤は、飲みやすくするための糖分をたくさん含んでいることが多い。

無理なダイエット・・・身体に必要なエネルギーが不足すると、エネルギーをつくるために体内の脂肪が肝臓に集まる。

肝臓は、人間が体を動かすのに必要なエネルギーを作り出し、栄養分を貯蔵したり有害物を解毒する働きをします。
肝臓の機能が停止すると、脳への栄養供給がストップしますので、人体はすぐに機能を停止します。

「肝心かなめ」ということば通り、肝臓は生きていくためには重要な臓器なのです。

ところが、肝臓の半分が脂肪で覆われても、殆ど自覚症状がないのです。

脂肪肝の初期症状は、身体がだるい、食欲がない、身体がかゆい、物忘れが激しいなどですが、まさか肝機能の低下が原因とは気付かないのです。

気付かないまま放置されて、肝臓で処理しきれなくなった脂肪が血液に流れ出すと、血栓が出来やすくなり動脈硬化を引き起こします。
動脈硬化は心筋梗塞など、死に至る病気の原因となります。

特徴的な症状が出た時は、すでに肝臓は肝炎などの病気にかかっていることが多く、もとに戻すまでには10年以上は改善の努力が必要です。

肝臓の血流を高めて新陳代謝を活発にすれば、肝臓に溜まった脂肪は徐々に取り除かれていきます。
血流を高めるには、適度な運動や入浴(半身浴)が効果的(ただし、疲れるほど行うのは逆効果)。
また、身体を起こした状態よりも寝た状態の方が、約30%も血流が高くなります。

食後しばらく横になると、肝臓への負担が軽くなり働きを助けます。

ストレスは血流低下を招きますので、ストレス回避も肝臓をいたわる手段です。

肝臓は、人間の臓器の中で最も再生能力の高い臓器です。
半分切除しても、残りが健康な状態ならば、1ヶ月程度で元通りに戻ってしまいます。

この肝臓の驚異の力を補うには、肝臓の素材となる必須アミノ酸(良質なタンパク質)が必要です。
肝臓には肝臓が良いようで、レバーはタンパク質を豊富に含み、さらに各種ミネラルやビタミンB群を効果的に摂ることができる理想的な強肝食といわれています。

良質なタンパク質は、脂身の少ない肉や魚、乳製品などに含まれており、豆腐や納豆なども食卓に欠かせません。

ウコンは、カレーなどに使われるスパイス「ターメリック」とも呼ばれ、黄色の色素成分クルクミンが肝臓内の胆汁分泌を促し、機能を高め、また肝障害を抑制する効果が知られています。
ウコンを原料とした健康食品は広く出回っていて、入手しやすいのでお勧めです。